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老舗テントファクトリーSpringbar Canvasの今/LIFE with FILSON #12

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いつの時代も変わらず、質実剛健なアメリカンプロダクトを作り続けている「フィルソン」。『LIFE with FILSON』は、アメリカの最新のファッション事情や、ローカルで人気の店、フィルソンを愛するアウトドアズマンを紹介する連載企画。コロラド・ユタ編の最終回では、コットンキャンバス製のクラシックなテント「Springbar」をご紹介。ファクトリーを取材を通して”新しい”彼らの取り組みを垣間見る。

昔ながらの無骨なテント

4ヶ月に渡ってお届けしてきたLIFE with FILSONのコロラド・ユタ編も今回でおしまい。アメリカのリアルな”フィルソンガイズ”や数々のショップやを取材したが、連載の最後の飾るのはソルトレイクシティで長年テントを作っているメーカー「スプリングバー・キャンバス」。

昔ながらのアメリカのモノづくりを続けながら、新しい提案を行っている彼ら。その姿勢はフィルソンとも共通知しているように感じる。

独自のテントフレームである”スプリングバー”を用いたいわゆる家型テントを得意とするスプリングバーは、リブランディングをきっかけに再び人気が高まって来ている。我々は工場を一新しリテールショップの準備している彼らを訪ね、今後のビジョンを伺った。

今のスプリングバーに至るまで

さて、まず彼らのブランドのことについて説明が必要かもしれない。なぜならアウトドアやキャンプ好きな人でも、スプリングバー・キャンバスなんて聞いたことがないぞ? という方もいるかもしれないから。

それもそのはず。日本ではスプリングバーという名前でテントを売られていない(売られていなかった)から。しかし、「Karkham's(カーカムス)」と聞いたらどうだろうか? そう、日本ではA&Fが取り扱っているクラシックな高級キャンバステント、カーカムス。これが2018年に名前が変わって「スプリングバー」となったのだ。

このことを説明するにはまず彼らの歴史を紐解くことになるので、ファクトリーの紹介の前に簡単に歴史を辿っていこうと思う。

同社の前身となる「AAA Tent & Awning」はキャンバス製品の販売と受注を行う店として1944年にオープン。当時は馬具や幌、タープ、テント、ティピを取り扱う店であった。ただ、テントやタープと言っても当時はまだ個人で行うレジャーのキャンプはメジャーでなかったという。

彼らのビジネスに変化が訪れたのは、次第にレジャーとしてのキャンプ需要が増えてきた50年代後半。市場が変わって来たことに目をつけた創始者のジャック・カーカムスは自社のキャンバス製品の他にストーブやクーラー、スリーピングバッグの取り扱いを始め、アウトドア用品へと業態をシフトしていったのだ。

そして1961年に新しいフレーム構造のテント「スプリングバーテント」を開発したことにより、事業は本格的にキャンピングテント屋にシフト。Springbarブランドのテントが主力商品となった。アウトドアショップとして事業が大規模になった際に社名を「AAA」から「カーカムス」に変更した。

スプリングバーとはルーフの骨部分に当たるフレームの事を指し、このフレームがバネのようにしなる事により生地に張りを与えている。スプリングバーフレームはルーフ部分を高く設定できて広い居住空間を確保し、かつ頑丈な構造を持つのが特徴。

また、1人でも簡単に設営ができる事も支持を集めた理由。透湿防水の軽量な化繊生地が当たり前の現代において1人でテント設営というのは造作もない事だが、この時代は重いキャンバス生地のテントが当たり前。この構造は画期的なものだったという。

テントのルーフとウォール部分に使われているコットンダックキャンバス生地は、昔から付き合いのあるジョージア州のメーカー製。撥水や防カビの加工が施されている特別仕様とのこと。

昔から使われている一番ベーシックなカラーはブルーグリーン。昔の工業製品の多くは同じような色をしていて、キャンバスも生成り色と並んでこの色が主流だったそう。確かに昔からの工場にあるような鋳物の機械にはこんな色に塗られている気がする。

コットンキャンバスの生地はユタの自然とも相性がよく、風が強い日も、雨の日も、蒸し暑い日も、冷え込む朝方も、いつでも快適な空間を作り出す。
地元のボーイスカウトに参加していた人たちの中では、カーカムスはおなじみのテントらしく、彼らにとっては昔からの相棒というイメージがあるとか。

さて、それではスプリングバーテントが昔から全米で知られていたかというと、そうとも言えず、どちらかというとユタのアウトドアマン御用達というローカルブランドであったらしい。

しかし、時代は進んで化学繊維のテントが主流の時代になってでも、唯一無二のテントは廃れることなく使われ続け、最近また注目を集めることとなっている。

特にアジア圏からの人気は右肩上がり。日本ではA&Fが取り扱いをはじめ、キャンプブームでいろんなキャンプスタイルが認知されてきたからか、マニアックな人が目をつけたからか、カーカムスのスプリングバーテントは日本でも知られるようになっている。さらに韓国でも人気に火がついているようで、キャンプイベントも開催されたそうだ。

そして2018年、独自構造のフレームを全面に押し出す形で社名を「スプリングバー・キャンバス」に変更。リブランディングが始まった。

スプリングバーの新たな改革
父から事業を受け継いだジャック・カーカム Jr 氏。今は会長職をしながら日々キャンプに明け暮れているとか。

スプリングバーフレームのテントが誕生して以降、50年以上に渡って変わらずキャンバステントを作り続けている同社。
中でも2020年は1つの変革の年で、様々な変化が起こっているという。最も大きな変化はファクトリーのリニューアルとリテールショップのオープン。

今後の展開について、スプリングバーの未来を担う2人に工場を案内してもらった。

セールスとマーケティングを担当するピースさん(左)とデザイナーのジョーダンさん(右)。フィルソンのジャケットは街でもアウトドアでも活用されている。Sherpa Fleece Jacket 2万8,600円、Ultralight Jacket 3万1,900円

「2020年は新たなスプリングバーのイメージを打ち出していく重要な年だと考えています。テント事業に乗り出す前からの『カーカムス』としての総合アウトドアショップを2019年まで続けていましたが、リニューアルしてスプリングバーのフラッグシップ・ショップにする事にしたんです。新しい店はファクトリーに併設するので、より私たちの熱が伝えられるような店になる予定ですよ」

取材時には未完成だったが、2020年の夏はショップも開く予定とのこと。

テントの背景にいる職人たち

スプリングバーは実は大きく分けて2つのラインが存在している。
1つはここソルトレイクシティ郊外の工場で作られるもの、もう1つは腕の良いアジアの工場で作られるもの。

「私たちのブランドも、アメリカのみならず世界中に販売網を持つようになりました。特にアジアを中心にキャンプ市場が大きくなって需要が高まり、アメリカ工場だけではまかないきれないので、モデルや仕様によって海外の工場も使って作り分けているんです。品質には遜色ないですが、アジア生産の方が価格を抑えられるため、多くのユーザーに使っていただけます。一方でアメリカ製は昔と全く同じアメリカ製のキャンバス生地を使って、ハンドカッティング、ハンドソーイングで作られているので、こちらはこちらでマニアックな方からの支持があります」

こちらは彼らが作った工場の動画。見てもお分かりいただけるが、ソルトレイクの工場では生地の状態から商品になるまで全ての作業が行われている。
特に縫製のパートに関しては、1人が最初から最後まで、ひと張りひと張り責任を持って縫い上げている。

テントのブランドタグの隣には縫製をしたスタッフのサインが見えるが、これは品質の保証とクラフトマンシップの証でもあるのだ。

テントが縫い上げられたら、一度広げて全ての縫製箇所を検品。
同社の製品であればこの工場内でリペアも行なっていて、年間1000張りのテントが送られてくる。大切に何十年も使われている、ヴィンテージものもあり、珍しい旧ロゴのテントもお目にかかれた。

「親から子に引き継げるような、何十年も使えるロングライフの商品を作ることはビジネスとしては利口とは言えません。しかしこれが昔から私たちがやっているビジネスです。私たちの製品を求めている人がいる以上この姿勢は変えません」とマーケティングのピースさん

「1960年代の昔ながらのデザインやアイデンティティを変えず、しかしながら新しい挑戦をしていくというのは、デザイナーとして難しい仕事。だけどブランドの価値を上げて、もっとスプリングバーのファンを増やす施策は色々考えているよ」と、ジョーダンさん。

新しく歩みだしたSpringbar Canvasは、テントの他に、キャンバス生地を使ったバッグやエプロン、キャンプツールの展開を始めている。

すでにテントを持っているファンも、そう出ないファンもってを出しやすいバッグシリーズはユニセックスに使えそうだ。
ペグとハンマーが収納できるツールケースも新作。

近々完成予定のショップは工場併設でレキシブルに対応ができるため、購入した製品へのネーム入れのサービスも行えるとのこと。

グローバル展開する一方でファミリービジネスとして細やかな対応をしている、不思議なバランスを保っている同社。小回りのきくアメリカ工場では、カラー別注なども行えるので、近い将来、日本限定品もしくは海外限定品なども登場しそうだ。

Information
■Springbar Canvas
■Address/4026 S W Temple, Millcreek, UT U.S.A.
https://springbar.com/

FILSON商品の問い合わせ
■Filson Tokyo Store
■Tel/03-6416-0768
■Website/https://filson.jp/
■Instagram/@filson_tokyo_store
■Photo/Yas Tsuchiya
■Text/Junpei Suzuki

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