MOTORCYCLE

今も実在する伝説を後世に継承するために──。

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LANGLITZ JAPAN代表:岡本隆則 (Takanori Okamoto)

ラングリッツ・ジャパンを取り仕切るプレジデント。しなやかなゴートレザーを用いたDeath’s Head CascadeとレザーパンツRangerという隙の無いセットアップが、"燻し銀"の風格を漂わす。今もなお実在するアメリカの伝説、Ross Langlitz、その真実を日本から世界に発信することを自らの使命とする。

 ラングリッツ・レザーズを初めて訪れたのは1994年、かれこれ四半世紀近く前のことになります。このとき、ショップの壁に掛けてあった1948年製のキャスケードにひと目惚れし、その場でオーナーのジャッキー・ラングリッツ・ハンセンの夫デイヴにメジャーメントをしてもらい、同じモデルをオーダーしました。以来、ラングリッツが造るレザー・ジャケットは言うに及ばず、ラングリッツ・ファミリーの歴史と彼ら自身の生き様に取り憑かれ、今日まで我々の生活はラングリッツ・レザーズと共にあります。

 ロス・ラングリッツの秀でたセンスと才能、何よりもその熱い情熱が世界最高峰のライダース・ジャケットの礎を築き上げた事は既に多くの方がご存じの通りです。しかしながら、ロスの功績同様、いやそれ以上に現在の地位を築く為に努力した影の功労者に娘のジャッキーとその夫デイヴの存在があります。

 ロスがラングリッツ・レザーズの全ての株をジャッキーに譲渡したのが1986年。ジャッキーとデイヴは、ラングリッツがラングリッツであり続けるための答えを父親の姿から学び、プライドと信念を持って時代と戦ってきました。大多数の実業家は、時代に合わせて変えることや変わることを考えます。しかしながら彼らは、勇気を持ってそれを良しとしませんでした。ラングリッツは、どんな世でも自らが決めた道を進み、それ以外はやらないという志、そして何よりも彼ら独自の美学を貫き続けているブランドなのです。

 この変わらぬ姿勢がラングリッツがラングリッツたる所以であり、世界中のバイカーがキング・オブ・モーターサイクル・レザーズと賞賛する根源です。

 ラングリッツのプロダクツは、バイカーに最も相応しいギアです。これは、右足をバイク事故で無くしながらも、生涯をバイカーとして生きたロス・ラングリッツだからこそ知り得た、"究極の引き算"から生みだされたからにほかなりません。道具は余分が無い上に使いやすく、そしてその目的を確実に果たさなければなりません。その優劣は、着て履けば必ずはっきりします。

 ラングリッツのレザーを身に纏ったときに漂う独特のオーラと色気は、それを知り、相棒に選んだオーナー達の覚悟と機能美に対する審美眼の現れそのものであり、これら全てが相まって唯一無二の存在となっているのです。

 ロス・ラングリッツ、その娘ジャッキーへと継承された伝統は、現在ロスの孫娘ジュディに受け継がれつつあります。ゆっくりですが、確実に。そこにはラングリッツを切り盛りするジョン、スコット、ベニー、そして日々粛々と、世界最高峰のモーターサイクル・レザーを我々の陰に隠れ造り続けてくれる熟練職人の方々の、ひたむきな努力があります。

 今後、我々ラングリッツ・ジャパンが75周年、80周年に向けてすべきこと。それは日本全国のラングリッツ・ディーラー様の力をお借りしながら、これまでの"Standard"を継承しつつ、長い歴史の中に隠れた名作を、日本のモーターサイクル・シーンに送り出すことです。それがラングリッツ・レザーズの新たなる"Standard"そして"The World’s Finest Motorcycle Leathers"になると信じて──。  

1947 H-D FL BLACKY/
愛機の1947年式でハイウェイをクルーズする、ラングリッツ・ジャパンのプレジデント。岡本は街乗りからツーリングまで、この1台でこなす生粋のナックルヘッド狂としても知られている。Flandersで構成されたハンドル周りやロケットマフラー、ハラコのバディシートなど、こだわりのディテールを見せ場とする漆黒のFLモデル。

ラングリッツの"今"を象徴する4つのアイコニクス。

完全復活を遂げた最古のモデル「Death’s Head Cascade」から、マスターピースと表される「Columbia」「Cascade」まで、創業70周年の節目に、いま一度注目したい4モデル。

Death’s Head Cascade

1945年にロス・ラングリッツが仲間と自身のため、5着のみ造った幻のジャケットを白のゴートスキンで再現。アメリカン・モーターサイクル・レザー史上最強の逸品。
価格:47万8,000円~(取材当時)

JD K-9

1950年代、夏場のレーシング・シャツとして造られた「K9」がベースとなっている。ロスが着ているこの写真を見てジェフ・デッカーがスペシャル・オーダーしたことから、JD-K9と名付けられた。
価格:未定(取材当時)

Speedway Cascade

ブランド名が「Speedway Togs」時代の1948年に製造された、最も古いレーシング・キャスケードを復刻。1949年のこの写真は、同仕様のキャスケードを着て、「デスズ・ヘッド・ダービー」のスタートを待つレッド・ライス。
価格:34万8,000円~(取材当時)

Cossack Collar Columbia

1947年の創業時よりラインナップされている、"The Langlitz"ともいえる名作「コロンビア」。このジャケットは、キャスケードと共に1948年より正式オプションとなった、コサック・カラーでオーダーしたもの。左のハンド・ポケットの裏地を押さえるためのステッチも特徴のひとつ。
価格:32万5,000円~(取材当時)

Langlitz Nagoya

名古屋高速2号東山線と並列する、若宮大通に面した名古屋の本店は、2009年よりこの場所に移転して以来、10年が経過した。ポートランドの名門の革製品に魅せられた岡本隆則の右腕として、ラングリッツ・ジャパンの設立以前から運営に尽力してきた、舟橋啓行が店長を務める。H-D乗りなら1度は訪れるべき総本山だ。

 Langlitz Nagoya
  〒464-0858 愛知県名古屋市千種区千種3-35-8 吹上ビル1F
   open 11:00~20:00
  定休日:水曜日(祝日を除く)

70周年の歴史に往々しい、重厚な佇まいの名古屋千種区のフラッグショップ。ひとたび店内に足を踏み入れれば、非日常の空間に包まれること必至。鉄と木とレンガで構成されたインテリアに所狭しと配された、黒光りするレザーアイテム群は全てがMade in USA。

Langlitz Tokyo

東京都内を循環するJR山手線、その渋谷駅と恵比寿駅の中間に位置するラングリッツ東京。ショップマネージャーの猪狩 顕が、オーダーからメンテナンス、修理に至る全てのサービスにじっくりと対応してくれる。日々の通勤で酷使される氏の愛機1941年式のGlide-Knuckleが目印だ。

 Langlitz Tokyo
  〒150-0011 東京都渋谷区東2-26-15 ストーク代官山1F
   open 11:00~20:00
  定休日:木曜日・第三水曜日(祝日を除く)

名古屋本店に比べるとコンパクトな店舗だが、ラングリッツがラインナップするほぼ全ての主要モデルに加え、選りすぐりのヴィンテージも取り扱う。店内には専用ミシンを完備し、リペアにも対応してくれる。

Photographs:Kentaro Yamada
Text:Gonz (満永毅)
媒体:ROLLER magazine vol.24

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