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Savage Archives-15「SHINSUKE TAKIZAWA EXCLUSIVE COLLECTION」

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Outstanding in Style and Performance.「1946 H-D / VARD-GLIDE」

 1949年にデビューしたHYDRA-GLIDEは、油圧式のフロンフォークを標準装備とした初のH-Dとしてエポックメイキングだが、そのスペックがストリートの基軸となっていく1950年代──先代のナックルヘッドに強いこだわりを持つ、偏屈なスピード狂がハイドラに対抗するべく、VARDやTHOROといった当時最高峰のアフターパーツを用いてホップアップした1台──特集THE VARDSのラストを飾るのは、滝沢が思い描くそんなストーリーを投影した46EL、"VARD-GLIDE"と名付けられた王道のBOBBERだ。

 「今でこそ手練のピッカーにより往時のパーツやドキュメントが発掘されているけれど、10年前までは50s以前のモーターサイクルやそのシーンを検証するための文献なんて本当に数えるほどしかなかった。カリフォルニアで名の通る旧車のスペシャリストですら、見たことも聞いたこともない、VARDってそんなカルトパーツの筆頭だった。

 それを思えば、インターネットによる情報の共有化が進んだ今は、欲すれば大抵の情報が得られるようにもなった。夢のような時代である反面、見向きもされなかったパーツの値段が爆発的に高騰し、信じられない金額で取引される。それだけ需要があるということですが、複雑な心境です」。

 1940〜50年代を走り抜けたワイルドワンたちの反骨精神。カスタム黎明期のオブスキュアなスタイルに目を付け、暗中模索の領域に切り込んでいったふたりの偏執狂が、今や世界中の旧車好きやカスタムフリークに注目される存在となったのは周知だろう。

 「40sと50sの狭間というピンポイントな設定を、時代考証を踏まえ再現できたのは、VARDやTHOROといったピリオドコレクトパーツの恩恵だけでなく、横溝さんの深い造詣があったからこそ」。

 この46年式はヴィンテージH-Dの酸いも甘いもを体現した、滝沢と横溝の到達点である。

 VARDが生まれた時代、フットクラッチ&ハンドシフトが標準装備だったH-D。そんな1940年代中期、より走行に集中できるハンドクラッチ&フットシフトに換装可能なフットコントロールシステムを、H-Dに先駆けて開発したのがイリノイ州のTHORO社だ。

 同時代のB&H社のフットシフターは有名だが、THORO社の"THE SPEED SHIFT"はラチェット機構を採用、よりハイテクで高性能だった。H-Dの4速ミッション専用設計で$42.50で販売されたが、今や第1級の絶滅危惧種。

 HYDRA-GLIDEが世に出る1940年代後半、最高峰のスペックを誇ったVARD-KNUCKLE。今も昔も、このフロントビューがバックミラーに映ったところ、でナックルだと気付くひとはいないだろう──。

Photographs:Kentaro Yamada
Text:Gonz (満永毅)
媒体:ROLLER magazine vol.15

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