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LIFE with FILSON 01/”労働”を写すフォトグラファー Jack Ludlam

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独自のスタイルを貫く、アメリカのアーティストを尋ねて。

アメリカを代表するアウトドア・クロージングブランド「FILSON(フィルソン)」。その質実剛健な世界観を本場アメリカで取材する新連載『LIFE with FILSON』がスタートする。

2019年はコロラド州とユタ州での取材を敢行。全12回にわたる連載で、リアルなアウトドアシーンや人気ショップ、フィルソンガイ(フィルソンを愛するタフガイ)たちのライフスタイルを紹介しよう。

ということで今回の『LIFE with FILSON』コロラド・ユタ編の第1回目は、コロラド州デンバーにアトリエを構えるフォトグラファー、ジャック・ラドラム(Jack Ludlam)さんを訪ねた。

アトリエでプリントのエッジをカットするジャックさん。撮影から最後の仕上げまで、作品は一貫して彼の元で作られる。

FILSONのヴィジュアル撮影も担当

ジャックさんが撮影を担当した、FILSONのカタログの1ページ。

唐突だが、読者諸兄はフィルソンの店頭で配られているカタログを目にしたことはあるだろうか? もし見た事がないという方は、中目黒のフィルソン・東京に行って、まず手にとってみるべきだ。それは文字通りの"型録"ではなく、ヴィジュアルブックと言うに相応しい美しいものとなっているのだ。

シーズンごとに、場合によってはカテゴリーごとに制作されている同ブランドのカタログだが、毎号フィルソンの雰囲気が十二分に反映されていて、何より写真がバツグンに良い。それもそのはずで、これらの撮影にはアメリカでも選りすぐりのフォトグラファーが参加しているのだ。

その多くがハンティングやフィッシングの現場に赴いて、フィールドをメインに撮影している人が多いのだが、今回取材したジャック・ラドラムさんは、全く異なる作風で写真を撮っている人物。

そして、彼もまたフィルソンの愛用者。好きこそ物の上手なれというべきか、ブランドの事をよく理解しているからこそ、その世界観を表現できるのだろう。

額装された作品たち。写真でありながら、絵画であるような不思議なリアル感がある。

「フィルソンと仕事をするようになったのは2015年頃からかな。確かショップで使うディスプレイとして僕のアートワークを買ってくれたのが始まりで、それからカタログのヴィジュアルや、インスタグラムで使う写真の撮影をするようになったんだ。僕たちは同じ方向を見てるし、お互いが納得できる仕事ができているから嬉しいよ」

デンバーの北部に構えている彼のアトリエは、元倉庫をリノベーションしたもの。コンクリートブロックの壁と高い天井に囲まれたソリッドな空間だった。ここでは、スチール撮影ができる白背景のスタジオ、写真の現像に使うPC、作品をそのまま印刷できるプロ仕様の大判プリンターまであり、アトリエ内で全て彼のアウトプットが出来るようになっている。

壁には彼の作品が貼られており、無機質な佇まいと妙にマッチしている。俯瞰、もしくは被写体に対してまっすぐに撮られた写真が多いからか、何となくレントゲン写真のようにも見え、どこか研究所のような雰囲気もある。

地元の蒸留所「The Family Jones」のボトルパッケージは、ジャックさんが撮影を担当。

ジャックさんが写真に触れ始めたのは子供時代。彫刻アーティストであった母親が使っていたフィルムカメラを借りて、たまに写真を撮らせてもらっていたのだという。

「本格的に写真に興味を持ったのは、大学卒業後にカメラを買ってから。それ以来写真という表現にのめり込んじゃって、写真の学校に入り直してフォトグラファーを目指すようになったんだ」

彼が写真を学ぶようになってから、大きな影響を与えた写真家がいた。その名前はリチャード・アヴェドン(Richard Avedon)。ファッションのポートレートやアート写真で有名で、モノクロ写真から力強い人間性が感じとられる写真が多い。

現在彼が制作する作品の多くはモノクロ写真。ハイコントラストで力強く、かつ物体の細かなディティールがわかる独特の迫力があるのが特徴だ。

重量のある大判カメラを三脚に固定し、真俯瞰(まふかん)で撮影している様子。冠布(かんぷ)を被ってファインダーを覗く。

「リチャード・アヴェドンの写真はシンプルだけどエネルギッシュで、とても大きな影響を受けたね。今の作風に行き着くには彼からのインスピレーションももちろんあるんだけど、一番のきっかけは、ちょっとしたハプニングだったんだ。間抜けな話なんだけど、写真を学んでいたある日、お酒で酔っ払っている状態で写真を現像したら、思った以上にコントラストが強く出て。その雰囲気が、僕が撮りたかった被写体との相性がとてもよかったんだよ」

カメラという道具を使って探求したいもの

彼が使うデジタルカメラはFUJIFILMのGFX50S。フルサイズデジタル一眼の約1.7倍のセンサーサイズを持ち、有効画素数は5140万画素を誇る。

彼がいう”僕が撮りたかった被写体”とは「労働」だという。

「”労働”というのは僕の突き詰めたいと思っているテーマ。僕はデンバーに住んで10年になるんだけど、生まれはオハイオ州の農家。だから10代の頃は、学校がない時は家族が経営する農場を手伝っていたんだよ。その時に出会ったワーカーたちが農作業に従事する姿勢を見て、関わって、自分も実際にその立場になって、労働の尊さを感じたんだ。目まぐるしく移り変わる都会の頭脳労働の世界とは違う、土臭いブルーワーカーの労働にね」

アトリエに置かれていた資料たち。時によって彼インスピレーション源となっている。

作品に代表されるモチーフは木やチェーンソー、ノコギリ。漁師の使うウキや錨、フライフィッシングのフライなど、道具に焦点を当てたもの。ハンドクラフトやスローライフ、人間がやってきた第一次産業的な男らしいテーマを、フィルムに焼き付けている。

ジャックさんの作品作りは、アメリカの様々な現場に赴くことでインスピレーションを得て、それをあえてスタジオで撮影するという点も面白い。

彼が使う機材はアナログとデジタルの両方。フィルムカメラは大判のカンボと中判のハッセルブラッド。デジタルは富士フイルムの中判のミラーレス一眼レフ。それらを使う理由は、描写力。大きくプリントしてもディティールに圧倒的な迫力があり、モノの凄みを表現してくれるからだという。

「メインの被写体は道具や、それを使うワーカーの姿。モノで言えば傷やサビ、亀裂や色の褪せ具合などは、そのものの個性であり歴史を感じさせてくれる。僕はそこの細部をみんなに見てもらいたいと思っているんだ」

モノクロで表現される、鮮やかな作品たち

最近撮影を行ったものだと見せてくれたのは、BMW R69Sの姿を切り取った一枚。ボクサーフラットツインの鼓動が聞こえてきそうだ。

「写真はオリジナルをいくらでも焼き増しすることができるけど、大量生産というのは僕の主義と反するから、プリントは各20枚しか作らず、それが終わってしまったらもう販売はしないことにしているんだ。ただ、いつかはこれまでの作品をまとめた写真集を作りたいとは思っているんだけどね」

現在彼の作品が買えるのは、基本的に彼のウェブサイトか、時折彼が開く展覧会でのみ。気になる方、購入を検討したい方は、彼のウェブやインスタグラムで最新情報をチェックしていただきたい。

ジャックさんのマスターピース。メインカメラであるFUJIFILM GFXとCAMBO 4×5。FILSONのRugged Twill Original Briefcase(5万50円)とFingerless Knit Gloves(5720円)は仕事でもプライベートでも活躍中。
愛用のFILSONのウェアたちと。Featherweight Down Vest/3万7950円、 Alaskan Guide Shirt /2万900円、Double Mackinaw Wool Cruiser Jacket/9万2400円

【Information】
Jack Ludlam
Website: https://www.jackludlam.com/
Instagram:@jackludlam

☆FILSON商品の問い合わせ
Filson Tokyo Store
Tel:03-6416-0768
Website:https://filson.jp/
Instagram:@filson_tokyo_store

Photo/Yas Tsuchiya
Text/Junpei Suzuki

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