CULTURE

週末名画座第7回『モテキ』フジロックへの憧れ

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金曜日、その週を思い返すのにピッタリな映画を提案する、『週末名画座』。仕事終わりの深夜、うとうとしはじめた頃が上映時間です。

『モテキ』(制作年:2011年/監督:大根仁)

https://matome.naver.jp/odai/2133633966310244701

我々世代の、フジロックへの憧れは、半分くらいこの映画がもたらしたと言っても過言ではないかもしれない。もちろん、日本で行われるフェスの中で最も大きく、そして歴史のあるフジロックは、音楽好きなら誰もが憧れる祭典だと言えるだろう。
けれど、フジロックに対する音楽以外の”フジロックへの期待”というのを、少なからず持ってトレッキングシューズの紐を結び、キャップをかぶり、背中にテントを背負って苗場に向かっている人もいるはずだ。そして、その中の8割は絶対に、この映画を観ていることだろう。

https://www.netflix.com/jp/title/80142038

久保ミツロウの同名コミックを原作に、TVドラマ化されたのちに、同じ監督で映画化された本作。31歳の藤本幸世(森山未來)は、金なし夢なし彼女なし。派遣会社を卒業し、ニュースサイトのライター職として新しい生活を踏み出そうとしているが、結局のところ新しい出会いもないまま。だがある日突然、“モテキ”が訪れ雑誌編集者・みゆき(長澤まさみ)をはじめとする4人の女性と同時期に出会い翻弄される…というストーリー。

長澤まさみのかわいさ、森山未來のあほさ、脇を固めるリリー・フランキーのなんかうさんくさいけどモテる感じ、うざったいけどなんかわかってしまう麻生久美子のキャラクター…いろいろな切り口がこの映画にはあると思うが、やはり、今日の切り口は”音楽”。
なんでも『モテキ』のドラマ・映画をつくった大根仁監督は、フジロックに毎年訪れているのだそう。そうやって言われてみれば、劇中で用いられる音楽の幅の広さも、そして「わかってる!」と音楽が好きな人をうなずかせる説得力も、そうでなくても「なんか…イイ…」と思わせるグルーブも、フジロック好きと言われるとなんだかうなずける気がしてしまう。またそれを証明するように、2015年のフジロックの公式インタビューで、監督はこう言っている。


…<フジロック>に参加したことで自身の活動へのフィードバックなんてありますか?
大根
いろんな音楽が一本の作品の中で流れるというのは、日本の映画やドラマでは意外と少ないんですよ。それをやれたのは<フジロック>での音楽が鳴り響いているフェス体験のおかげかな。ていうか、<フジロック>体験だと書けないこともいっぱいあるけどなぁ(苦笑)。


https://frf-en.jp/talking-about-fuji-rock/hitoshi-one

まさかのあのアーティスト、「このチョイスはアツい!」と言わせるタイムライン、そして「選べない…」と観客を絶望させるタイムテーブル被り、それぞれが各ステージのタイムラインを頭に入れて、聴きたい音楽を求め自由に動き回れる会場内、そのなかで起こる想定外。ステージへ近づくにつれ少しずつ大きくなる音楽と、遠くで聴こえる他のステージの歌にもちょっと耳を澄ましてみる…。フジロックというものについて考察してみればみるほど、『モテキ』という映画はほぼフジロックと同じ構成なんじゃないのか?と思えてくる。(いや、そこまでは言い過ぎだろうか…?)

https://www.fujirockfestival.com/history/

今年も今日から三日間、苗場でフジロックが開催されている。(https://www.fujirockfestival.com/) 今頃、フジロックで音楽を聴いている人たちはこの記事のことなんて目にも留めないだろう。彼らはこれから真っ暗な森の中、音楽を聴いてお酒を飲み、焚火を囲みながらチルい夜を越えるはずだ。
しかし、行きたいけれど、いろんな理由で行けなかった人たちは、YouTubeのリアルタイム映像にかじりつきながら今も悶々とした夜を過ごしている。もはや、今から画面の向こうに参加できる可能性は限りなくゼロだ。もう、そこは覆らない。だからせめて焚火の代わりにこの映画を観て、心をキュンとさせたり、挿入歌を一個ずつ調べながら夜を明かそう。長澤まさみを始めとするヒロインたちに、心を奪われよう。そしてラストシーンを観ながら号泣して、「来年は絶対に早めにチケットとってスケジュール押さえよう」と誓おう。

netflix: https://www.netflix.com/jp/title/80142038

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