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週末名画座 第3回『曲がれ!スプーン』空想は起こりうる現実だ

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金曜日、その週を思い返すのにピッタリな映画を提案する、『週末名画座』。仕事終わりの深夜、うとうとしはじめた頃が上映時間です。

『曲がれ!スプーン』(制作年:2009年/監督:本広克行)

今朝、CNNにこんなニュースがあったことをご存じだろうか。(動画もあるので、ぜひそっちも見てみてほしい。)

『パイロットのUFO目撃情報、米海軍が非公開で議員に説明』
ワシントン(CNN) 米上院情報委員会の副委員長を含む数人の上院議員が、米海軍による一連の未確認飛行物体の目撃情報について、19日に非公開で説明を受けた。議会関係者などが20日、CNNに明らかにした。…マーク・ワーナー上院議員の広報は、「気象観測気球であれ、宇宙人であれ、全く別の何かであれ、パイロットの命を不必要な危険にさらすわけにはいかない」と強調した。 …米紙ニューヨーク・タイムズは先月、エンジンの存在も、赤外線センサーを通じた排気の形跡も確認できないUFOに、数人のパイロットが複数回遭遇したと報じていた。

https://www.cnn.co.jp/fringe/35138826.html

ついに令和元年は、宇宙人との宇宙交流元年になるかもしれない。…というのは大げさだが、今までSF(サイエンス・フィクション)、日本語では空想科学としてジャンル分けされてきたことがいよいよそうとも言えなくなってきたんじゃあないかと、このニュースで少なからず興奮を覚えたのは私だけじゃないだろう。

こういった宇宙人だのUFOだのUMAの目撃情報はこれまでも無限とあったし、報道されるたびに否定してきたが、近代化が進み科学技術が発達することによって「いや、SF的な、宇宙的なフィクションって、意外とあり得るんじゃないか?」そんな考えが私たちの頭をよぎる。

だって、半世紀前まではフィクションの中で描かれていたはずの、人型のロボットやドローン、人間の知能を凌駕しうるAI、クローン技術、恐竜の再生、映画『アイアンマン』でトニー・スタークが着用するスーツ…これらはどれも、科学技術として実現しつつあるのだ。人が想像として楽しんでいたものが、現実にあらわれかけている。

ともすればやっぱり、宇宙人もいてもおかしくない。宇宙人は化学の技術として開発するものではないが、そもそも「地球外に同じような知的な生命体がいる」という仮説は、AIや恐竜の再生技術なんかよりもよっぽど現実的じゃないだろうか。だって、私たちが宇宙に存在している時点でほぼ証明できているような気がする。(詳しいことは全く分からないけれど)

引用元: https://pc.video.dmkt-sp.jp/ti/10004846

この話題を持ち出している時点で、本来であれば『スーパー8』や『スタートレック』、もしくは名画座らしくベタに『E.T.』なんかを紹介するもんじゃないのか、と思われるかもしれない。さんざんSF洋画を例に出しておいて申し訳ないなあと感じつつも、このニュースにぴったりな映画は、やっぱりこれだ。

舞台となるのは、クリスマス・イブのとある喫茶店「カフェ・ド・念力」。そこには1年に1度本物のエスパー達が集い、普段隠している能力を見せ合うエスパーパーティが開かれる。そこに主人公の長澤まさみ扮する超常現象バラエティ番組のAD・桜井米がひょんなことから辿り着く。突然の米の来店に、自分達の超能力がばれてはならぬと、エスパーたちは大慌て。そこでさらに、その中に一人、”偽エスパー”が紛れ込んでいることが発覚する――というもの。

引用元: https://vod-hikaku-ranking.com/voddb/videos/%E6%9B%B2%E3%81%8C%E3%82%8C%21%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%B3

長澤まさみが演じる主人公は、超能力をとにかく、信じている。しかしそんなことを言っても馬鹿にされ、取材へ行っても偽物ばかり集まり、ADを務める超常現象番組も打ち切り寸前の危機に瀕している。それでも「超能力は絶対に存在する!」と粘り強く、その瞬間を写そうとカメラを構え続ける。

もともとが上田誠の『冬のユリゲラー』と題して劇団・ヨーロッパ企画が公演していたものを書籍化、のちに映画化したものなので、登場人物たちはコメディ全快だし、終始ドタバタしている。そのテンポと馬鹿馬鹿しさと展開が、何よりこの映画の面白みなはずだ。(超能力者たちが割とポンコツだったり、力をうまく使えなかったりするのもおもしろい。この映画の中では、超能力者も、超能力を持っていること以外は普通のおっさんなのである。)

けれどどうか、今夜もしこの映画を観るのであれば、彼女がどれだけ超能力を信じ、憧れ、その信じる力を原動力にこれまで走り抜けてきたのか、ということだ。そして、その信じる力は周りの超能力者たちをほんのちょっとだけ変え、それによりほんのちょっとだけ世界が動く。

引用元: https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA000080DEI

映画の主人公はテレビマンだが、前述したAIや人型ロボット、恐竜、ましてや宇宙の研究をしている人たちも、きっと同じ姿勢で日夜研究を続けているに違いない。実現できるわけがないと言われることも多々あるだろう。けれど、それでも信じ続けて、追い続けた人たちが報われる瞬間というのは、割とある。もしかしたら本人は気付けないかもしれないし、世の中が認知するのはずっと先なのかもしれないけれど、たった一人しか信じていなかったようなことが小さく地球を動かすことだってあるのかもしれない。

…まあだとしても、じゃあこの場合誰がこのニュースに貢献したのか?と言われるとまったく見当はつかない。(研究チームが見つけた、というわけでもないし。)けれど、少なくとも宇宙人の実在をテレビで熱く語るも、インチキとして半笑い気味に受け取られていた科学者の人たちは、ちょっとだけ名誉を回復できるだろうし、ウルトラマン(つまりM78星雲の宇宙人)になりたいと七夕に願った幼稚園の私も、少しだけ救われている。

■amazon https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00L1XT9ZW
■d TV https://pc.video.dmkt-sp.jp/ti/10004846?campaign=lic00000005&_adp_c=wk&_adp_e=c&_adp_u=p&_adp_p_md=4056&_adp_p_cp=89332&_adp_p_agr=8591535&_adp_p_kw=29131707&gclid=EAIaIQobChMIutKsoeL64gIVCXZgCh2XgA29EAAYAiAAEgJXZPD_BwE

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Text:ヤマグチナナコ

 

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